オーストリアワインは、そのスタイルの幅の広さにも関わらず、一貫した性質を持ち、それが他のインターナショナルワインと異なるところだ。その性質とは、ブドウが生理学的に完全な成熟をしているにも関わらず、アロマが新鮮であることだ。深みがあり、豊かなワインがここまで軽快で、フレッシュなワインの中身がここまで詰まっているような場所は、地球上ここしかあり得ない。
勿論、多様な土壌や、様々な微気候環境など、多くの地域的差異が存在するが、オーストリアは大別すると5つの主要な気候ゾーン(ドナウ川流域、ヴァインフィアテル、パノニア平原、シュタイヤーマルク、ベルグランド)が存在し、これらのうち3つはウィーンに接しているが、各気候の違いはワインの個性に明確に現れる。
European Climate Influences
Continental Pannonian climate
Moderate Atlantic climate
Cool air from the north
Illyrian Mediterranean climate
ドナウ川周辺
西のヴァッハウからウィーンにかけて、素晴らしいボディを持つグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングが主体だ。この地域はパノニアの暖かい風の流れが特徴で、ヴァーグラムからドナウ川の支流の渓谷(シュトラッサータール、カンプタール、クレムスタール、トライゼンタール…)へ流れ込み、最終的にヴァッハウの狭い渓谷に達する。ヴァッハウ渓谷は、ドナウ川がボヘミア山脈の原成岩を千年以上にわたって削ってできたものだ。
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ヴァインフィアテル
オーストリア最北のワイン産地であるヴァインフィアテルは、“ペパリー”なグリューナー・ヴェルトリーナーの故郷だ。その面積の広さと明確な境界線――マンハーツベアク山脈を西端、ドナウ川が南端、オーストリア国境が北と東――のために、ヴァインフィアテルは、数多くのミクロクリマや地質上の差異はあっても、広い固有の一地方を成している。
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パノニア地方
オーストリアの首都ウィーンの南東では、暖かいパノニア気候が、ワインの性質をほとんど決定付けている。他のワイン産地とは異なり、フルで円やかなボディーがカルヌゥントゥム、テルメンレギオン、そしてブルゲンラントのワインの特徴だ。パノニア地方は、オーストリアがその赤ワインの生産における優れた能力を見せつける場所だ。カルヌントゥムからゼーヴィンケルにかけてはフル・ボディのツヴァイゲルトが主体だ。
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シュタイヤーマーク
シュタイヤーマーク、或は英語読みでスティリアは、ワインをその象徴とする独特の食文化を持っている。典型的オーストリアらしいフレッシュさは、丘の連なる田舎の景色の中で、その頂点を極める。スムースで精巧、香り高く健全で爽快なワインは、世界でもここだけのものだ。
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ベアクラント地方
オーストリアのワイン生産は2つの重要なワイン生産地、すなわちヴァインラント(ドナウ圏、ヴァインフィアテルとパノニア圏)及びシュタイアーラント(シュタイヤーマーク南部)に集中しているものの、ベアクラント(ケアンテン、オーバーエスタライヒ、ザルツブルク、チロル、そしてフォーアールベアク)にもワイン畑が存在する。ワインの性質は、アトランティック気候とアルプスに近いということに影響を受けている。
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