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オーストリアワイン、量の下落に反して、平均価格は最高を記録

オーストリアワインにとっては、2010年も難しい市場環境にもかかわらず、明るい年となった。2009年の不作により、オーストリアのバレルワインの2010年の輸出量は急激に下落した。しかしながらボトルワインの輸出はひき続き好調で、平均価格は過去最高のリットル当たり€ 2 を超した。こうした傾向は、昨年も収穫量が少なかった――おそらく霜の年だった1985年以来最低――ため、続くことが予想される。また、量的不足のため、今年は輸出収入の減少が予測される。

Willi Klinger, Gerhard Wohlmuth and Josef Pleil, copyright AWMB

輸入収入は再び過去最高を記録

Willi Klinger, Gerhard Wohlmuth and Josef Pleil, © Austrian Wine

輸入収入は再び過去最高を記録

2009年の不作は2010年のワイン輸出に著しい影響を及ぼした。2010年1月~10月のスタティーク・オーストリアの輸出統計及びオーストリアワインマーケティング協会(AWMB)の予測によれば、バレルワイン輸出量は急激に落下(量:44%減、金額:34%減)。一方で高品質のボトルワイン輸出は好調に成長し、量で10%、金額で9%の伸びを示した。全体では、輸出量は6千万リットル(-13.7%)、輸出金額は過去最高の1億2千2百万ユーロ(+2.6%)に達するとAWMBは予測している。

「ボトルワインの輸出市場におけるシェアは91%にまで伸び、これは我が国のワイン産業にとって非常に重要な発展だ。」とオーストリアワインマーケティング協会のヴィリー・クリンガー会長は語る。「それに加えて、我々は初めて、リットル当たり平均価格が € 2 を超すところまで到達した。」

AWMBの戦略的目標――長期的に廉価なバレルワインの輸出を、生産者により高い付加価値をもたらす持続可能なボトルワイン輸出に切り替える――は、部分的に達せられたようだ。しかしながらヴィリー・クリンガーはまだ満足していない。

「我々のボトルワインは10年来続けて上昇傾向を示してきた」とクリンガーは指摘する。「そして平均価格も持続的に上昇している。従って、今後3年間における我々の目標は、ボトルウィ案の輸出をさらに拡大することだ。全体として、理論的には、1.42~1.48億ユーロの輸出高は達成可能である。

ドイツは引き続き最大の輸出市場(1月~10月:輸出量7.3%減;金額4.4%増)で、スイス(含リヒテンシュタイン)(1月~10月:輸出量 1.1%減;金額1.2%減)、アメリカ合衆国(1月~10月:輸出量9.5%増;金額9.8%増)、オランダ(1月~10月:輸出量19.3%増;金額 15.5%増)、スエーデン(1月~10月:輸出量6.8%増;金額4.6%増)がこれに続く。オーストリアワイン、そして欧州全体のワインにとって戦略的に重要なことは、欧州外――例えばロシア、中国、シンガポールなど高付加価値商品の求められている市場――に新たな市場を築くことだ。EUは2年来、 EU外の国々への輸出を促進することで、こうした市場の開拓にかかる高いコストを支援している。

2010年の不作が輸出の妨げに

2010年のワインの作柄は、スタティーク・オーストリアによれば、推定収穫量はおおよそ176万リットル(平年より30%減)で、これが今年のワイン輸出を妨げると見られる。「このヴィンテージは初めから難しい年だった」と説明するのはオーストリア ブドウ栽培者協会(Österreichischer Weinbauverband)会長のヨーゼフ・プライル。「霜の害だけでなく、開花期にとても寒く雨が多かった。結果として、一般的に結実率が低かった。さらに、実質的に年間を通して雨が続いたため、病害に最も頭を痛めたし、健康で完熟したブドウを得るためには、生産者は最大のスキルを発揮する必要があった。」

ニーダーエスタライヒ、ブルゲンラント、そしてウィーンでは、オーストリア歴史上最低の収穫量が記録された。直近5年間の平均では、平年比で、ニーダーエスタライヒは量的に32%減、ブルゲンランは27%減、ウィーンは30%減となっている。シュタイヤーマークは「たった」12%前後の減少を記録した。

「さしあたり、スタティーク・オーストリアの推定は非常に慎重だ」とプライルは状況についてコメントする。「減少は40%にまで達しているように見える。」

非常に難しい生育状態にもかかわらず、オーストリアワインは質的にはとても好ましいものとなった。2010年ヴィンテージは特別な果実味と鮮度感を呈している。