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“DAC”はDistrictus Austriae Controllatusの頭文字をとったもので、オーストリアのクヴァリテーツヴァイン(上質ワイン)に与えられる法律上の略語であり、特にその地域に典型的なものです。現在、地域の典型性を持つワインを示す18のDAC原産地が認定されています。

DAC規制の確立

オーストリアのすべての特定のワイン産地は、これらのワインが特に地域の条件に適しており、長い歴史の中で重要性を持ってきたため、他の地域とは差別化したワインを主に販売しています。ある産地で何を栽培するかを決める際には、栽培面と戦略的マーケティングの両方の基準を考慮する必要があります。例えば、シルヒャーはドナウ川沿いでは栽培されない傾向があり、グリューナー・ヴェルトリーナーはシュタイヤーマークでは栽培されないといったように、特定の産地にあまり適さない品種もあります。ある産地が、その地域の典型的なワインに焦点をあて、そのタイプのワインにのみラベルに産地名を使用することを認めている場合、DACのステータスを取得するためのプロセスを始められるのです。

まず最初のステップは、地元のブドウ生産者、ワインメーカー、取引業者などで構成される地域ワイン委員会が 、地域の特性とワイン栽培方針を定義します。この特性には、ブドウの品種、収穫方法、熟成、味わいなどの要素が含まれます。

委員会が合意に達すると、連邦農業省、農業会議所、連邦経済会議所、AWMBの専門家とともに規定の草案が作成されます。草案はその後、承認のために全国ワイン委員会に提出されます。

その後、全国ワイン委員会は、最終的な申請書を連邦農業省に提出します。申請が承認され、法制化された場合、ワインには産地名とDAC(Districtus Austriae Controllatus)という接尾辞を付けることができますが、それは特定の産地の定義された品種を使用したもののみが認められます。その他のすべてのクヴァリテーツヴァインには、DAC産地が位置する一般呼称ワイン産地の名前(=連邦州名)を表示しなければなりません(例:"ズートシュタイヤーマルク"ではなく "シュタイヤーマルク”)。

言い換えれば、ワインのラベルに産地名の直後に「DAC」と表示されている場合(例:カンプタールDAC)は、そのワインがその産地の紛れもない特徴を持っていることを意味しています。この特徴を持つワインだけが、ラベルに特定の産地名を表示することが許されています。これにより、ワインの原産地が強調され、ワインをより際立たせることができます。

 

DAC規定で定義されたポイント

DACの規定は、ワイン生産に関連する様々な要素を定義することができます。これらの点は、原産地のユニークな特徴を定義するもので、ブドウ品種や栽培方法だけでなく、ワインを最も早く市場に出す時期の認可も含むことができます。

ブドウ品種

まず第一に、ワイン産地では、その地域の代表的なブドウ品種を決定します。これは任意の決定ではなく、その地域のワイン生産の伝統、気候条件、土壌の特徴などによって決定されます。いくつかの産地(アイゼンベルクやトライゼンタールなど)では、1つまたは2つのブドウ品種に焦点を当てることを決定していますが、他の産地(シュタイヤーマルクやヴァッハウなど)では、より広範囲のブドウ品種を使用して、それぞれの原産地呼称で特徴的な多様性のあるワインを生産しています。

栽培と収穫

産地の特性は、ワインのスタイルだけではなく、その土地特有の栽培方法によっても定義されることがあります。ゲミッシュター・サッツの混植混醸が非常に根付いているワイン産地ウィーンでの事例では、同じ畑で異なるブドウ品種を栽培し、一緒に醸造するという伝統的な手法を守るために「ヴィーナー・ゲミッシュター・サッツDAC」が設立されたのです。いくつかの地域では、DAC規定にブドウの収穫方法が含まれます。例えば、ルストとヴァッハウ、そしてシュタイヤーマルク州のDAC地域では、手摘みでの収穫が義務づけられています。

アルコールと残糖

各産地では、軽めか強めか、辛口か甘口かに関わらず、ワインに必要なアルコール度数や残糖度を定義することができます。これらの要素は、その地域の原産地制度の中で、単一の等級やブドウ品種ごとに定義することも可能です。

熟成と官能的特性

ブドウ品種だけでは産地特性は定義されません。ワインの熟成過程、味、香り、色も重要な役割を果たし、規定の過程で明確に定義されます。ワインをDACとして販売する場合は、テイスティング委員会がそのワインをその地域の典型的なものにする要素を決定します。

市場への投入

最終製品の栽培、醸造、特性に関する基準のほかに、DAC規定にはマーケティング基準も含まれていることがしばしばあります。これには例えば、ワインが一般的に必要とされる熟成期間を確保するために、ワインを市場に出すことができる最も早い時期などが含まれます。産地は、その地域の典型的なワインをマーケティングするために、共通のロゴを作成することも歓迎されています。DACワインは通常、特定のラベル表示規制の対象となります。

原産地の等級とより細分化された原産地呼称

多くの産地では、熟成の度合いや原産地のより細分化された呼称によって、ワインを異なるレベルに分けています。まず、"リザーヴ"という用語の使用は規定の対象となります。関連するDAC規定に別段の規定がない限り、原産地の典型性を持つ(すなわちDACステータスを持つ)ワインに"リザーヴ "という用語を使用することは禁じられています。この場合、DAC規定は一般的に検査番号の申請が可能な最も早い日付を規定しており、一般的なワインの表示規制とは異なります。

多くのDACワインは、より細分化された原産地呼称を持つワインを含め3つの等級:ゲヴェイツヴァイン(地方名称ワイン)、オルツヴァイン(村名称ワイン)、リーデンヴァイン(単一畑ワイン)に明確に分類する傾向があります。これはワイン産地、それがより広い地域であれ、特定の村やコミュニティであれ、あるいは個々のブドウ畑であっても、正確な特徴を強調するものです。

より細分化された原産地呼称の詳細情報

DAC産地

2003 年にDAC制度が始まり、それ以来、DACはすべての特定のワイン生産地域に拡大してきました。その結果、現在(2023年7月現在)、地域の典型性を持つワインを示す18のDAC原産地が認定されています。

ヴァーグラムDAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ヴァーグラムDAC

2,450ヘクタールのブドウ畑がレス(黄土)主体のワイン生産地域にあり、この産地はドナウ川によって2つに区分されます。雄大なレス(黄土)のテラスが広がる北部エリアでは、オーストリアの偉大なグリューナー・ヴェルトリーナーや特産品種であるローター・ヴェルトリーナー、またリースリングが栽培されており、ドナウ川の南、ウィーンに近いところには、1860年創立の世界で最も古いワイン醸造学校が位置する歴史あるワイン醸造の町クロスターノイブルグがあります。2021年以降、ボリューム感のあるスパイシーさが特徴的なワインは、ヴァーグラムDACの呼称で保護されています。

ワイン産地ヴァーグラムについての詳細

ヴァッハウ

ヴァッハウ DAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ヴァッハウ DAC

メルクとクレムスの間にあるドナウ川の狭い渓谷は世界遺産に登録されています。グリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングが主な品種で、合計1,296 ヘクタールの畑に植えられており、その多くがプライマリーロックに切り込んだ急なテラスに見られます。 ヴァッハウの典型的なDACワインは、ゲヴェイツヴァイン(地方名称ワイン)とオルツヴァイン(村名称ワイン)ではこの地域のブドウの多様性を反映しており、一方、リーデンヴァイン(単一畑ワイン)ではフラッグシップ品種であるグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングが主体となります。この地域は、シュタインフェーダー、フェダーシュピール、スマラクトの呼称でも知られています。

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クレムスタール DAC

クレムスタール DAC

© Austrian Wine/Philipp Forstner

クレムスタール DAC

この地域の2,267ヘクタールのブドウ畑は、歴史的な街クレムスと岩の多いクレムス渓谷、印象的な東側の黄土地帯、ドナウ川の南側にあるゲットヴァイク修道院周辺の小さなワイン村々の3つのゾーンに分かれています。これらの地域は、世界で最も優れた白ワイン用ブドウ品種である2つの品種:グリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングに焦点を当てたDACアペラシオンを構成しています。

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カンプタール DAC

カンプタール DAC

© Austrian Wine/Marcus Wiesner

カンプタール DAC

3,583ヘクタールのブドウ畑に、多くのトップクラスにランクされる生産者を有するカンプタールは、オーストリアで最も成功しているワイン産地の一つです。ここでは、黄土とプライマリーロックが最も一般的な土壌のタイプです。有名なハイリゲンシュタインなど、いくつかのブドウ畑は火山性土壌が分布しています。ここではグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングにDACのステータスが与えられています。

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トライゼンタール DAC

トライゼンタール DAC

© Austrian Wine/Philipp Forstner

トライゼンタール DAC

855ヘクタールのこのワイン産地は、小さくて精巧なワインを生産しています。スパイシーでミネラル感のある特徴を持つトライゼンタールのDAC品種グリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングは、すでに国際的な支持を得ています。この地域のロマンチックなワイン村や居心地の良いワイン居酒屋(ホイリゲとして知られています)は、旅するワインファンのための地元の秘密です。

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ヴァインフィアテル DAC

ヴァインフィアテル DAC

© Austrian Wine/Johannes Brunnbauer

ヴァインフィアテル DAC

オーストリア最大の特定ワイン産地(13,841ヘクタール)には様々なブドウ品種がありますが、グリューナー・ヴェルトリーナーが明らかに際立っています。これらのワインは、顕著なスパイシーさと胡椒の香りを含む強い地域特性を持っています。2003年、ヴァインフィアテルのグリューナー・ヴェルトリーナーはオーストリアで初のDACのステータスを獲得したワインです。

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カルヌントゥム DAC

カルヌントゥム DAC

© Austrian Wine / Anna Stöcher

カルヌントゥム DAC

歴史的なカルヌントゥムのワイン産地にブドウを最初に植えたのはローマ人でした。この地域には822ヘクタールのブドウ畑があり、しっかりとしたストラクチュアのある白ワインと、オーストリアの最高級赤ワインのいくつかが生産されています。カルヌントゥムDACは、グリューナー・ヴェルトリーナー、シャルドネ、ピノ・ブラン、ツヴァイゲルト、あるいはブラウフレンキッシュから造られます。後者はシュピッツァーベルクの石灰質土壌に理想的なテロワールを見出しています。

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ノイジードラーゼー DAC

ノイジードラーゼー DAC

© Austrian Wine/Rober Herbst

ノイジードラーゼー DAC

ノイジードル湖の東側に位置するノイジードラーゼーは、ノイジードルの町とハンガリー国境の間に位置し、ワイン生産の町ゴルス周辺の丘陵地帯、ハイデボーデンとゼーヴィンケルの平坦な土地にまたがる6,020ヘクタールのワイン産地です。2012年以降、ノイジードラーゼーDACは、ツヴァイゲルトから造られるフルーティーで調和のとれた赤ワインで、「リザーヴ」ラベルでよりフルボディのスタイルも生産しています。2020年以降、この地域の甘口ワインにも原産地呼称「ノイジードラーゼーDAC」の表示が認められています。

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ライタベルク DAC

ライタベルク DAC

© Austrian Wine/Philipp Forstner

ライタベルク DAC

ノイジードル湖の西岸に位置するこのDACは、オーストリアで初めて白と赤の両方の典型的なワインが許可された産地です。2,995ヘクタールのライタベルグDAC地域に分布する石灰岩と粘板岩の土壌は、素晴らしい白ワイン(ピノ・ブラン、シャルドネ、ノイブルガー、グリューナー・ヴェルトリーナー)や、一流のミネラル感あふれるブラウフレンキッシュワインを生産しています。

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ルスター・アウスブルッフ DAC

ルスター・アウスブルッフ DAC

© Austrian Wine/Marcus Wiesner

ルスター・アウスブルッフ DAC

フライシュタット ルストには 100 年にわたるワイン栽培の伝統があります。 地元の名物は、市内ののブドウ畑のみから作られるトロッケンベーレンアウスレーゼ、ルスターブルッフです。2020年以降、これらの甘口ワインは原産地呼称「ルスター・アウスブルッフDAC」によって保護されます。ルストの辛口ワインには、原産地呼称の「ブルゲンラント」または「ライタベルクDAC」を表示することができます。

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ロザリア DAC

ロザリア DAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ロザリア DAC

ロザリア山脈の東斜面、ブルゲンラント州で最も小さなワイン産地で、わずか239ヘクタールのみです。ここでは、ツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュのブドウが、先史時代の海の若い堆積物の土壌で栽培されており、パワフルで果実味豊かなロザリアDACワインの基盤を形成しています。もう一つの典型的な特産品は、1つ以上の赤ワイン用クヴァリテーツヴァイン品種から造られる、フレッシュでスパイシーなロザリアDACロゼです。

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ミッテルブルゲンラント DAC

ミッテルブルゲンラント DAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ミッテルブルゲンラント DAC

ブラウフレンキッシュは、ミッテルブルゲンラントの2,036ヘクタールのブドウ畑で中心的なブドウ品種です。暖かいローム質土壌由来の、森の黒い果実や繊細でスパイシーな紛れもない香りの特徴が発達し、ミッテルブルゲンラントDACにその地域性を与えています。この地域の "リザーヴ "ワインは、すでにその偉大な熟成の可能性を発揮しています。

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アイゼンベルク DAC

アイゼンベルク DAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

アイゼンベルク DAC

ブルゲンラント南部のワイン産地は、ハンガリーとの国境に沿って広がるのどかな田園地帯が特徴です。この地域の515ヘクタールのブドウ畑で栽培された優れたブラウフレンキッシュのワインは、ワインに並外れたミネラル感と独特のフレッシュな香りを与えています。2009年以降、これらのワインはアイゼンベルクDACまたはアイゼンベルクDACリザーヴのラベル表記で瓶詰めされています。

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ヴルカンラント・シュタイヤーマルク DAC

ヴルカンラント・シュタイヤーマルク DAC

© Austrian Wine/Bernhard Schramm

ヴルカンラント・シュタイヤーマルク DAC

産地名の由来となるこの地域の死火山には、火山の側面に植えられた小さなブドウ畑の島がたくさんあります。1,655ヘクタールの畑を持つこれらの火山性土壌は、主にヴェルシュリースリング、ピノ・ブラン、モリヨン(シャルドネ)、ソーヴィニヨン・ブランといった個性的なDACワインを産出しています。クレヒ周辺では、トラミネールが特産品となっています。

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ズートシュタイヤーマルクDAC

ズートシュタイヤーマルクDAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ズートシュタイヤーマルクDAC

スロヴェニアとの国境に沿って点在するズートシュタイヤーマルクの息を呑むような急斜面は、世界で最も魅力的なワイン生産地の一つです。2,800ヘクタールにこの地域のDACワインのベースとなる多数の白ブドウ品種が栽培されています。しかし、この地域の傑出したワインは、最高の単一畑に分布する貝殻石灰質土壌の影響を受けたソーヴィニヨン・ブランであることは言うまでもありません。ソーサルの丘のスレート土壌もこの地域の特徴です。

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ヴェストシュタイヤーマルク DAC

ヴェストシュタイヤーマルク DAC

© Austrian Wine/Marcus Wiesner

ヴェストシュタイヤーマルク DAC

ロマンチックなヴェストシュタイヤーマルク地方には、658ヘクタールのブドウ畑があります。面積の約60%にブラウアー・ヴィルトバッヒャーが植えられており、シルヒャーと呼ばれる独特のテロワールワインが生産されています。生き生きとした酸味を持つこの珍しいロゼワインは、すでに国際的なカルト的地位を獲得しています。ソーヴィニヨン・ブラン、ヴェルシュリースリング、ピノ・ブランなどの典型的なシュタイヤーマークの白ワインと並んで、この地方の特産品はヴェストシュタイヤーマークDACのラベルで販売されることもあります。

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ヴィーナ

ヴィーナー・ゲミシュター・サッツ DAC

© Austrian Wine/Robert Herbst

ヴィーナー・ゲミシュター・サッツ DAC

“ゲミッシュター・サッツ"とは、1つの畑で異なる白ワインの品種を栽培し、それらを同時に収穫、一緒に醸造してフィールドブレンドワインを造ることを意味します(混植混醸)。このブドウ畑とワイナリーで使用される伝統的な手法で、地域性のある素晴らしいウィーンワインが生産され、単一畑のワインとしてのラベル表記も認められています。ヴィーナー・ゲミシュター・サッツのワインは、グリューナー・ヴェルトリーナー、ヴェルシュリースリング、ピノ・ブラン、リースリング、トラミネールなどの品種が含まれます。

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原産地マーケティング戦略

より詳細な原産地呼称

オーストリアのワイン産地

 

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