ズュートシュタイヤーマルクは、香り高く爽やかなワイン、特にソーヴィニヨン・ブランの産地として注目されていますが、栽培面積は2,744ヘクタールで、 ヴェルシュリースリング 、モリヨン、ゲルバー・ムスカテラーからトラミーナーまで、さまざまな品種を栽培するのに十分な広さがあります。ヨーロッパでも指折りのとても魅力的なブドウ畑の風景のひとつが広がるこの地では、畑のほとんどが非常に急な斜面に築かれているため、ブドウ栽培は大変な作業です。
ブドウ栽培面積
主要品種
ソーヴィニヨン・ブラン、マスカット、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、モリヨン(シャルドネ)、ザウザル:リースリング
主要栽培地
ガムリッツ、ラッチ、ベルクハウゼン、シュピールフェルト、ロイチャッハ、ザウザル:キッツェック、ザンクト・ニコライ
産地とワイン
ズュートシュタイヤーマルクのブドウ品種は多種多様で、ワイン生産地域の土壌も同様に、砂や片岩から泥灰や石灰岩まで様々です。湿潤で温暖な地中海性気候のため植生サイクルが長くなり、冷涼な夜温によって豊かで複雑なアロマが発達し、白品種に豊かなニュアンスと高貴さをもたらします。これは、新ヴィンテージの先ぶれである「ユンカー」と呼ばれる、しなやかで果実味豊かな若いワインと、この地域の特に典型的な白ワインの両方に当てはまり、それらは保護原産地呼称である「ズュートシュタイヤーマルクDAC」表記でリリースされます。
産地典型的なズュートシュタイヤーマルクDACワインは、ヴェストシュタイヤーマルクやヴルカンラント・シュタイヤーマルクと同様に、ゲヴェイツヴァイン、オルツヴァイン、リーデンヴァインの3つの等級で構成されています。より長い期間熟成されたワインには「リザーヴ」の表記が認められています。シュタイヤーマルクのすべてのDACワインの特徴として、法律により手摘みでの収穫が義務付けられています。
ソーヴィニヨン・ブランという品種は、これまで継続的に発展してきた中で世界のトップワインとして認められており、今日ではズュートシュタイヤーマルクのソーヴィニヨンは、その中でもエリートクラスに名を連ねています。栽培地の約5分の1でこの品種が植えられており、この地域の典型的な特徴は、香り高く爽やかなものから、エレガントで複雑なソーヴィニヨンまで、詳細なテロワールを明確に表現しています。ソーヴィニヨン・ブランは、 ヴェルシュリースリング 、ヴァイスブルグンダー、モリヨン(シャルドネ)、グラウブルグンダー、リースリング、ゲルバー・ムスカテラー、トラミーナーとともに、ズュートシュタイヤーマルクDACの認定品種をリードする存在であり、このDACの基盤を成しています。そして、アイヒベルク、ロイチャッハ、ガムリッツ周辺では、ゲルバー・ムスカテラーがスター品種の一つとして挙げられます。リースリングはザウザル地方のキッツェックが有名で、ここにはシュタイヤーマルクで最も急勾配(傾斜100%以上)で標高の高い(海抜600メートル至)ブドウ畑があります。ブルゴーニュ品種がお好みの方には、エーレンハウゼン周辺の石灰岩を多く含む土壌で造られる、豊かな味わいのモリロン(シャルドネ)をお勧めします。
チャミロンベルク、グラスニッツベルク、キッテンベルク、ヌスベルク、オブエック、セルナウベルク、クラナフベルク、ツィルエッグといった響きの良い単一畑の名前は、そこで栽培されている最高級ワインの精神を連想せます。
ズュートシュタイヤーマルクのワイン産業が持続的に成功し続けている要因として、非常にオープンなワイン生産者同士のつながりがあること、そして彼らは大抵、世界中の高級ワイン産地を訪問したり、インターンシップで経験を積んでいることがあげられます。一方で、シルバーベルクにあるブドウ栽培学校は、理論と実践の両面から若いワイン生産者に最高の教育、資格を提供することで貢献しています。
シュタイヤーマークの上質ワインは、地域のホスピタリティ産業でワインリストの主役になっているだけでなく、国際的にも大きな話題を呼んでいます。ヨハン大公(1782-1859)は、当時としては真のパイオニアであり、「ヨーロッパ的」なワイン文化のビジョンを持ち、その影響は今でもこの地域で感じられますが、現在のズュートシュタイヤーマルクのワイン生産者たちをさぞ誇りに思うことでしょう。


ズュートシュタイヤーマルク DAC
2018ヴィンテージより
収穫は手摘みでなければならない!
**例外:「トロッケン」のトラミナーとリースリング、クレッヒのトラミナー「ハルプトロッケン」、またはプレディカーツヴァインレベル以上では残糖分の規定なし
***例外: 'トロッケン'に分類されるリースリングとトラミナー
要点
ブドウ品種
ヴェルシュリースリング 、ヴァイスブルグンダー、モリヨン、グラウブルグンダー、リースリング、ゲルバー・ムスカテラー、ソーヴィニヨン・ブラン、トラミーナー、およびそれらを使ったブレンド
品質レベル
- ズートシュタイヤーマルクDAC:収穫翌年1月15日、ヴェルシュリースリングは収穫年の12月1日から連邦検査番号提出
- 自治体名を伴うズートシュタイヤーマルクDAC:収穫翌年4月1日から連邦検査番号提出
- リート(単一畑)呼称を伴うズートシュタイヤーマルクDAC:収穫翌年5月1日から連邦検査番号提出
- 「リザーヴ」追加表記:最短販売日が規定の18ヶ月後以降に設定されている場合
アルコール度
規定なし
残糖値
- ズュートシュタイヤーマルク DAC: 最大 4.0 g/l; リースリングとトラミーナーは辛口
- 自治体名表記のズュートシュタイヤーマルク: 最大 4.0 g/l; リースリングとトラミーナーは辛口
- 単一畑名表記のズュートシュタイヤーマルク DAC: 最大 4.0 g/l; リースリングとトラミーナーは辛口
風味の特徴
規定なし
ラベル表記
- ズュートシュタイヤーマルク DAC: 原産地呼称(「DAC」を含む)は、メインラベル(必要な情報をすべて記載したラベル)および表ラベルに表記し、また、収穫年を記載しなければならない。
- 自治体名表記のズュートシュタイヤーマルク DAC: メインラベル(必要な情報がすべて記載されているラベル)と表ラベルに、原産地呼称(「DAC」を含む)と自治体名を記載しなけれなならない。
- 単一畑名表記のズュートシュタイヤーマルク DAC: メインラベル(必要な情報をすべて記載したラベル)と表ラベルに原産地呼称(「DAC」を含む)とブドウ畑名を記載しなければならない。
- 原産地表示が「シュタイヤーマルク」のクヴァリテーツヴァインは、「シュタイヤーマルク」よりも詳細な地理的表示を記載してはいけない。
オルツヴァインの主要品種
- キッツェック・ソーサル: ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング
- アイヒバーグ:ソーヴィニヨン・ブラン、ゲルバー・ムスカテラー
- ロイチャッハ:ソーヴィニヨン・ブラン、ゲルバー・ムスカテラー
- ガムリッツ:ソーヴィニヨン・ブラン、ゲルバー・ムスカテラー
- エーレンハウゼン:ソーヴィニヨン・ブラン、モリヨン
地質
ザウザルとその急斜面のブドウ畑は、東アルプスの緑色片岩と石英岩の層を持つフィライト質粘土片岩で構成されています。シルバーベルグ、ネステルベルグ、リルペネグの近くや北側の斜面でも、これらのあまり硬すぎないタイプの硬岩石がみられます。グリルコーゲルでは、地質学的に最も古いとされる石灰岩や、粘土質や小石の多い石灰岩がみられます。
ズュートシュタイヤーマルクのほとんどのブドウ畑は、粗粒の沖積砂岩(一部は礫岩に固まっている)や、いわゆるシュタイヤーマルクの泥灰土、粘土質堆積物、砂、クロイツベルク層の礫岩、ヴァイセネッグ層の砂や泥灰土の土壌で栽培されています。後者のユニットは、パラテティス海に堆積したシュタイヤーマルク盆地の堆積物に属しており、約1,500万年から1,800万年前のものです。これらの地層は、粒径や石灰岩の含有量にかなりのばらつきがあり、ライタ石灰岩に似た純粋な石灰岩がワイルドンとグラスニッツバーグの間に局所的に分布しています。

料理のヒント
料理のヒント
ズュートシュタイヤーマルクDACのワインは、多彩な料理と合わせることができます。典型的なブッシェンシャンク(地元の伝統的なワイン酒場)で提供される郷土料理、シュタイアーマルクのフライドチキンや、根菜とホースラディッシュを添えた古典的なコイ料理とも良い相性です。ソーヴィニヨン・ブラン、 ヴェルシュリースリング 、ヴァイスブルグンダー、さらにはムスカテラーも、これらの料理と完璧にマッチしますし、豪奢なモリヨンはスルムタール産鶏肉のローストと合わせると素晴らしいペアリングです。また、ズュートシュタイヤーマルクDACのワインは、世界中のトップレストランのワインリストに掲載されていて、特に偉大なソーヴィニヨンは、魚、野菜、あるいは(特別な組み合わせの)赤身肉など、様々なスタイルの料理を引き立て、珍しいペアリング体験を提供することも可能です。